棒を取り出すこと…

     指揮棒

2年間苦楽を共にした棒を取り出すことがあります。
また振りたいなぁ、なんて。

オケを振る、というのはそれだけ貴重な体験でした。

しかし…

振るのは振るでもいろいろあります。
過剰に振るもの、そしてそうでないもの。

学部時代に所属していたオケの指揮者の先生が指揮についてこう言われたことがあるそうです。

「指揮とはどう振るかではなく、いかに振らないかということ」

先生と理由は違うかも知れませんが、何となく分かる気がするのです。

振らずともオケらしい演奏をしてくれたらその中にいる指揮者ってとても幸せな気分になれます。
音楽の進行、美しい響き、それを体にもろに受け、波に乗っている感覚。
指揮者もアンサンブルをやるのです。
アンサンブルって自分ばかりで制御するのってつまらないですよね。
音楽を一緒にやっている気がしない。
アンサンブルをご存知の方ならお分かりかと思います。
テンポ出し道具であり続けるのはあまりに辛い。

最小限の動きから最大限の情報を提供する。
それは楽器を弾く際も棒を振る際も結局同じことなのです。

ビジュアルだって、その動きに必然性を持たせなければビジュアルとは言わず単なる無駄な動きでしかありません。
飾りなんて必要ないですよ、と以前に私が音楽について述べたことがあると思いますが、指揮もやりようによっては余計な飾りになり、音楽を妨害することとなってしまうのです。
プレイヤーの自発性を阻害する、ということもありますね。
御しすぎず、御している。
ま、そのような感じです。
私はそういう感覚で振っていました。
気持ちよく振れたときは楽器で曲を弾ききったとき以上の達成感であったと思います。

あの達成感をまた経験したいなぁ…。

棒を取り出すとふとそう思うことがあります。
けど、よほどのことがない限りそのようなことをする機会はもうないでしょう。

思い出話をしていますが、棒を取り出すのはただ単にそういう理由じゃありません。

自分の目指す演奏スタイルに最も近づけたのが意外にも指揮だった、と思えるのです。
だから、その感覚を楽器を弾くときにも上手く発揮できたら、なんて思って棒を取り出してみた、ということもあるのです。
棒を持ちつつそのような感覚をイメージするのです。
半分魔法の杖みたいな状態です(笑)

テーマ : 音楽的ひとりごと
ジャンル : 音楽

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・バッハを尊敬し、ショパンを愛する音楽家。
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